福祉機器が買えない 予算限られる措置施設

2014年0728 福祉新聞編集部
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入浴リフトで負担は軽減された

 利用者の平均年齢が69・5歳、半数が車いすや歩行器を使うなど特別養護老人ホーム化した救護施設がある。山梨県韮崎市の「清山寮」(山本一寮長)だ。措置施設という限られた予算と人員配置の中、機械浴槽やエアマットなどを活用し、個々の利用者に合った介護・支援の提供を目指している。

利用者が高齢・重度化

 社会福祉法人山梨福祉事業会が運営する清山寮(定員100人)は、60歳以上89人、寝たきり8人、車いす使用34人、歩行器使用11人という救護施設。知的障害37人、統合失調症18人、肢体不自由13人など障害のある人も多く、地域移行支援よりも、介護・生活支援中心の援助が行われている。

 

 清山寮が本格的に福祉機器を導入したのは2011年。冷房なし、全室和室の施設を改築したのがきっかけだ。旧施設では、2人で抱え上げて布団から車いすに移乗させていた。入浴は水着の職員が大浴槽に抱えて入る形で行い、体重の重い人は入浴台で体を洗いシャワーで流していた。職員の負担は大きく、腰を痛めていない職員はいなかった。

 

 新施設では、男子浴室に酒井医療㈱の車いす式機械浴槽「ライラック」、女子浴室に入浴リフト「ライナーリフト」を整備。介護ベッドを25台増やすとともに、褥瘡予防エアマットレスも10台導入した。「職員の負担は減り、湯につかれる人が増え、しもやけが減った」と貝瀬政彦支援課長は話す。

低い人員配置基準

 それでも職員の大きな負担は残った。利用者の高齢・重度化で介護業務量が増えたからだ。そして措置施設ならではの人員配置の薄さと予算の少なさが負担に拍車をかける。

 

 救護施設の人員配置基準は特養ホームの3対1に比べ、5・4対1と低い。清山寮では指導員や看護師を加配し4・6対1にしているが、車で20分かかる病院に通院する人が1日平均10・6人おり、送迎に人手が割かれる。地域移行支援などが必要な人への対応もあり、人員不足は深刻だ。

 

 予算の少なさは機器整備に影響を及ぼす。介護ベッドは35台あるが3モーターは3台のみ、1モーターが17台で、手動式ベッドも使っている。高価な調整機能付き車いすは購入できず、女子浴室にライナーリフトを入れたのも予算不足と使い勝手を考えたから。機器整備は共同募金の配分金や寄贈品に頼らざるを得ないのが実情だ。

 

 こうした人員配置と予算の少なさはケアの質にも影響を与えている。夜勤・早出職員だけでは食堂での朝食介護が十分できないため、車いすへの移乗が困難な利用者にはベッド上で食事してもらうことがあるという。

 

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調整機能付き車いすは高くて買えない

行政の支援が必要

 「多種多様な人が暮らすのが救護施設。職員を増やすなどして個々に合った対応を目指しているが、状況は厳しい」という山本寮長。福祉事務所に寝たきり高齢者の措置替えを申請してもなかなか前に進まないと話す。

 

 少ない人員配置、予算の中で、最後の受け皿の役割を懸命に果たそうとしている清山寮。その役割を果たすにはリフトなどの整備を含め、もっと行政の手厚い支援が必要だ。

 

救護施設とは

 障害があり、日常生活を営むことが困難な生活保護受給者が入所する措置施設。全国に184カ所あり、約1万7,000人が暮らしている。生保受給者の急増などに伴い、利用者の地域移行支援や地域の生活困窮者支援が求められる一方、地方では高齢・重度化した利用者が増えて特別養護老人ホーム化する施設もあり、介護・生活支援のあり方が課題になっている

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