福祉機器の困りごとに一役 介護実習・普及センターとは

2015年0128 福祉新聞編集部
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介護実習・普及センターには多くの 機器が展示されている

 福祉機器の普及などを目的に機器の展示や相談を行う機関として「介護実習・普及(介実)センター」が都道府県などに設置されています。福祉用具法に規定されながら、介護保険法に何の位置付けもない介実センターの現状と課題、宮城・富山両県の活動の様子をリポートします。

 

1992年度から設置

 

 介実センターは、東京都が設置した総合福祉センターをモデルに、1992年度に国が「介実センター運営事業」として事業化。全国に設置された。実施主体は「都道府県・指定都市」で、実際の運営は社会福祉協議会やリハビリテーションセンターに委託された。

 

 目的は、①地域住民に介護知識・技術を普及する②展示・相談体制を整備し機器を普及する——ことで、93年度に福祉用具法の「福祉用具の研究開発・普及促進の基本的方針」に規定された。

 

 しかし、介護保険法には位置付けられず、2001年度の人件費の一般財源化や、06年度の三位一体改革による国庫補助金廃止により、地方自治体の自主事業になったことで廃止されるセンターが続出。最大76カ所あったが、14年度現在44カ所に減少した。

 

機器中心の活動に

 

 事業は当初、地域住民への介護知識・技術の普及、介護専門職のチーム作りなどを行う「介実事業」と、「介護機器普及事業」が柱だったが、介実事業は市町村の役割として定着。

 

 現在は、機器と住宅改修の専門機関として、展示・相談や専門職の研修を行う介実センターが多いが、展示数や研修回数などは都道府県により大きく異なっている。

 

 また、リハセンに委託された介実センターでは、理学療法士などの専門職が相談者の身体状況や生活環境などを把握し、一人ひとりに合った機器を製作・提供するなど問題解決型事業を行っている。

 

介護保険法に規定を

 

 介実センターが加盟する福祉用具相談・研修機関協議会の事務局を務めるテクノエイド協会の寺光鉄雄・普及部長は「求められるのは北欧の『補助器具センター』のようなワンストップで機器の問題を解決できる場所。地域包括支援センターに機器の専門職を配置すれば、同様の機能が期待できる。社会福祉士などと連携・協働すれば、その人の身体状況や居住環境に合った機器の選定・調整などが可能になり、地域包括ケア実現に役立つ」と話す。

 

 また包括センターを機器の面からサポートするとともに、困難事例を解決する機関として都道府県の介実センターを位置付ける重要性を指摘。「そのためには介護保険法に位置付け、保険財源で運営できるようにすることが必要」と話す。

 

 介護人材の確保が大きな課題になっている現状を考えれば、訓練で機能回復する場合はリハビリし、介護が必要になっても機器を使える場合は積極活用し、それが無理なら人の手を使うといった仕組みが必要になる。

 

 機器を適切に使うことで解決できる問題は多く、介実センターを含む機器活用のシステムづくりが求められている。

 

「腰痛予防へ施設応援」 富山県介護実習・普及センター

 

移乗シートについて学ぶ看護学生

移乗シートについて学ぶ看護学生

 

 富山県社会福祉協議会が運営する県介護実習・普及センター(押川なおみ所長)は1995年10月に開所。富山駅から徒歩10分の県総合福祉会館で、福祉機器の展示や研修などを行っている。

 

 展示している機器は約800点。約380平方㍍の展示場・モデルルームで火~日曜日の午前9時から午後5時まで常設展示しており、昨年は1770人が来場した。

 

 また、子どもから障害者、高齢者まで、機器や住宅改修の相談をワンストップで受けており、昨年は976件の相談があった。このうち市町村では対応できない困難事例や、専門知識・技術が必要なものは、センターが委嘱する理学療法士などの専門相談員と職員が相談者の自宅に同行訪問し、相談・解決に当たっている。

 

 

➡次ページ 作業療法士が機器を製作することも

 

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