おむつ代が年200万円減も 香川の特養、ケア向上へ3年の軌跡

2015年0305 福祉新聞編集部
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腹圧がかかるようテーブルとクッションを使い排便を促す

 「快適なおしりまわり」を目標に、排せつケアの向上に取り組んでいる特別養護老人ホームがある。香川県東かがわ市の「絹島荘」(坂口正美施設長)だ。トイレの不安が少なくなることで地域の行事や日帰り旅行に出掛ける利用者が増えるなど生活の質は大きく向上。職員の負担やおむつ代が大幅に減るなどの効果ももたらしている。

 

 社会福祉法人香東園が運営する絹島荘は1994年に開所した入所定員80人(平均要介護度3・5)の従来型施設。2004年から利用者を6ユニットに分け、個々の生活リズムに合った個別ケアを展開している。

 

 個別ケアはユニットごとに利用者と職員が一緒に食事することから始まった。施設長や事務員、調理員などが共に食卓を囲む中で食事ケアへの疑問が出され、咀嚼力・嚥下力を損ない、食欲も湧かないミキサー食や刻み食を廃止。かんで食べる食事にこだわり、必要な人には圧力鍋で調理し提供した。

 

 また、かむ食事のために口腔ケアや、正しい姿勢で食事ができるよう調整機能付き車いすと手作りクッションを使った姿勢ケアにも着手した。

 

 そして姿勢保持には、おむつの当て方も大切だと気づき、09年7月から排せつケア向上に取り組んだ。

 

 当時、パンツは単一メーカーのSMLサイズを、尿取りパッドは半数以上に特大サイズを使用。1日4~6回の定時交換で、パッドの上に布おむつをT字型に当て、その上に防水カバーを着ける4~5段重ねもしていた。「いかにおむつの外に漏らさないようにするか」を重視し、排便コントロールのため薬も多用していた。

 

 排せつケアの取り組みは、理学療法士(PT)による「おしりまわり研修」(全3回)を全職員が受講することからスタート。9月にはPTの紹介で㈱はいせつ総合研究所・むつき庵が実施している「おむつフィッター」(OF)の3級研修を4人が受講し、一人ひとりに合ったおむつを使う必要性や当て方などを学んだ。

 

 10年1月にはOF3級取得者や栄養士、看護師などからなる排せつケア向上委員会を設置し、全利用者の尿便量や形状、排便排尿間隔の把握や、おむつの当て方が適正か確認。リハビリパンツをやめ、ホルダーパンツと個々の尿量に適したパッドに変え、トイレ、ポータブルトイレ(PBT)への誘導を始めた。

 

差し込み式便器が入るよう車いすも改良した

差し込み式便器が入るよう車いすも改良した

 

➡次ページ 全職員がおむつ体験

 

 

 

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