宮崎の老健、介護食を企業と開発 利用者の口腔機能アップ

2015年0501 福祉新聞編集部
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歯ぐきでつぶせるソフト食。見た目は常食と変わらない

 宮崎県えびの市の老人保健施設「さくら苑」では、給食委託会社と介護食を共同開発している。開発には2人の言語聴覚士(ST)が全面協力。嚥下機能などを考慮して生まれた介護食は、利用者の健康状態の改善や口腔機能の向上などに大きな役割を果たしている。

 

コンクールきっかけ

 

 医療法人社団公佑会(丹光明理事長)が運営するさくら苑(定員80人、平均要介護度4・0)が介護食(ムース食・ソフト食)の開発に着手したのは2011年。法人の業務改善案コンクールでSTの山田奈知さんが提案した「介護食の提供」が準グランプリを獲得したのがきっかけだ。

 

 同苑は06年の開所当時から法人のグループ企業「㈱ライフサポート(LS)」(川合麻記代表取締役)に調理業務を委託。常食、刻み食、ミキサー食を提供していた。また、食事前には嚥下体操、食事中にはSTが個々の嚥下状態を確認するなど利用者に合った食事提供に努めてきた。

 

 介護食開発の話は、LS社が法人4施設の調理業務をセントラルキッチン化した09年から、関係職種が集まる給食委員会でたびたび出ていた。しかし、山田さんの提案後も前に進まず、そこで山田さんとSTの東一久さんが勉強会を企画。LS社の社員も参加し、介護食に関心を持ってもらうところからスタートした。

 

 「まずは、やってみよう」。開発作業は設備もノウハウも何もないところから始まった。「鮭フレークをゼリーに浮かべたり、何にでもとろみを付けたりするなど全くの手探り状態だった」と川合さんは振り返る。市販品の活用も考えたが、当時は見た目も味も良い商品は少なく、コスト的にも高すぎた。

 

介護食の販売までに

 試作品をSTが食べて要望を出し、それを踏まえて作り直す作業は1年半続いた。その積み重ねでLS社の技術は急向上。開発した介護食を「菜食便ムース」「同ソフト」として市販するまでになった。

 

 同ムースはミキサーでつぶした食材を魚や肉の形に成形した商品。舌でつぶせる柔らかさで嚥下機能が低下した人も食べられる。牛・鶏・鮭・白身魚に7種の特製ソースをかける方式で、常食と同様のメニューが提供できる。

 

 一方、同ソフトは加熱時間や温度を工夫することで素材の形そのままに歯ぐきでつぶせる柔らかさにした商品で、柴漬けなどは見た目も味も変わらない。「毎食提供できるメニュー開発が進まず、時間やコストがかかるため一時的に提供を見送っているが、漬物など単品なら販売できる」と川合さんは話す。

 

白身魚に成形したムース食を食べる利用者

白身魚に成形したムース食を食べる利用者

 

 介護食開発後、同苑の食事形態は大きく変わった。刻み食はムース食の副菜として、ミキサー食はごく一部の人にだけ使うようになった。野菜の煮物など同ム
ースの副菜メニューが充実すれば、刻み食はなくせるという。

 

 また、提供方法も個々に合わせ柔軟に対応。食が細いムース食の人には、同ム
ースの量を減らす一方で油分や栄養素を追加。1日に必要な栄養分を取れるよう工夫している。

 

 「介護食を開発したことで『今日はお魚だね』と利用者が食事を楽しむようになったことが一番うれしい」という山田さん。ムース食を食べる人が肉や魚を食べているみたいに口を動かすようになるなど、口腔機能のリハビリや健康状態の改善にも役立っているという。

 

 1月に都内で開かれた高齢者食・介護食の総合展示会「メディケアフーズ展」で高い評価を受けた同苑とLS社。その取り組みを最も評価しているのはきっと同苑の利用者たちだろう。

 

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