虐待疑われリフト導入 表皮剥離や内出血防ぐ

2015年0529 福祉新聞編集部
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腰痛でも、年をとっても働けるという前田さん

 兵庫県姫路市の地域密着型特別養護老人ホーム「いやさか苑」(田上優佳施設長)は「表皮剥離や内出血を絶対にさせない」という強い覚悟で移乗介護にリフトを使っている。きっかけは、利用者の脇腹に内出血があるのを見た主治医から虐待を疑われたことだった。

 

 社会福祉法人播陽灘が運営する同苑は、2010年10月に開所した定員39人(入所29人・短期入所10人、平均要介護度4・4)のユニット型施設。地域密着型特養として開所時から地域住民とのつながりを大切にした施設運営をしてきた。14年6月からは県が進める「兵庫式24時間生活援助員地域見守り事業」の認定を受け、住民の相談・見守りを行うなど地域課題の解決にも一役かっている。

 

 そんな同苑が居室での移乗介護にリフトを導入したのは12年10月のこと。利用者の脇腹にある内出血を見た主治医から「虐待ではないか」と疑われたことがきっかけだった。

 

 もともと同苑は、開所時に4カ所の個浴すべてに㈱いうらのリフトを付けるなど抱え上げない環境づくりに力を入れていた。居室のリフトは、厚生労働省の介護労働環境向上奨励金を活用して整備しようと考えていた矢先で、まだ人力による抱え上げ介護をしていた。

 

 主治医の指摘を受けた田上施設長はすぐ職員に聞き取り調査を実施。介護福祉士資格を持つ職員が「自分の介護技術が未熟だから」と自らを責める様子を見た田上施設長は「利用者はベッド上だけで生活するのではなく、リビングで過ごす時間も大切にしており、1日に何度も移乗する。高齢者の皮膚は熟れた桃と同じで、少しの力で傷ついてしまう。事故を回避するにはリフトしかない」と導入を即断した。

 

 

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